大判例

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高松家庭裁判所 事件番号不詳 決定

少年 H(昭一一・一二・二〇生)

主文

本件申請を却下する。

理由

本件申請の要旨は「少年は昭和三十年七月二十九日高松家庭裁判所において医療少年院送致の決定をうけ、その後同三十一年十二月十二日及び同三十三年十二月二十七日の二回にわたり収容継続決定を受け、同三十四年十二月十九日を以て右収容継続決定による満期日に達するものであるが、なお精神について著しい故障があり公共の福祉のために少年院から退院させるに不適当であると認めるから、二十五歳に達するまでの期間更に収容を継続する必要がある。」というものであるが、その申請書は普通郵便の方法で、同三十四年十二月十日京都府宇治市宇治郵便局区内において投函され、異常に遅延して同月二十二日に当裁判所に到達したものである。

そこでこの遅延した事情を調査してみるに、以前より実施されていた全逓労組の超過勤務拒否等の闘争が同月に入つて激化し、郵便物の遅滞が段々と昂じ、同月中旬頃には非常にその状態が悪化するに至り、その結果普通郵便物等は通常の場合よりも一週間程度遅滞するようになり、本件郵便物も本来ならば遅くとも同月十五日までには当裁判所に到達しているものが、更に一週間も遅延するに至つた事情が認められるのである。

そこで、この期間不遵守の違法について案ずるに、少年院法第十一条にいわゆる少年院長の申請は収容期間中に家庭裁判所に到達するようにしてすべきものであることは昭和二十七年十月二十三日附及び昭和二十八年二月十九日附最高裁判所家庭局長回答によつて明らかであるが、しかし自然的な不可抗力等少年院長の責に帰することのできない事由によつて右期間を遵守できなかつた場合には、刑事訴訟法第二百六条或は第三百六十二条の精神も参考にして、少年院における収容なるものが自由の拘束は伴うけれども保護処分であり特に医療少年院の場合はこの保護的色彩が濃厚であることからしてその遅延が非常に僅少の場合には免責されて治癒されるものと解すべきであろう。

しかるに本件の場合京都府宇治市から昭和三十四年十二月十日に発送された普通郵便物が一週間以内に高松家庭裁判所に到達しなかつたことは確に正常なものでなく、しかもそれが郵政省内の全逓闘争によるものであることはこの郵送方法に関する限り少年院長の責に帰することのできない事由による期間の不遵守と一応認められるけれども、右発送日当時すでに郵便物の激しい遅滞が一般に報道されていたのであり、少年院長としては本件のごとき遅延の起らないよう電話、速達郵便等の特別の送達方法を講ずべきであつたし、又本件申請の必要は早くわかつていたのであるから、右発送日よりもつと早く申請をすべきであつたと思料されるので、本件申請の遅延が少年院長の責に帰することのできない事由によるものとは認め難い。

よつて本件申請は収容期間中になされたものでなく不適法であるからこれを却下する。

(裁判官 渡瀬勲)

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